PROJECT 02 現場の声を製品へ
独自データ分析が叶えた
極限のフィット感

長時間走り続けるランナーにとって、アイウェアは重要なアイテムの一つ。
その独特な形状で注目を集めるアイウェア「E-NOX NEURON(イーノックス ニューロン)」に秘められた開発ストーリーを紹介する。

Project Member

  • 鳥谷 好孝

    スポーツ第1事業部 営業部
    1996年入社

  • 北村 圭三

    商品企画部
    スワンズクリエイティブセンター
    2008年入社

  • 今村 まどか

    開発部 技術開発課
    2012年入社

ランナーのための
究極のアイウェアを作りたい

あれ?上下が逆? 2017年12月に発売されたアイウェア『E-NOX NEURON(イーノックスニューロン)』の原型は、2004年アテネ五輪女子マラソンで野口みずき選手が着用し、金メダルを獲得した「E-NOXα」だ。このモデルは、走る振動でサングラスが揺れてズレないアイウェアとして、歩幅が広く飛び跳ねるような走法の野口選手のために開発された。走りと一体化し結果に結びついたこのモデルは、当時話題となった。

それから約10年。陸上競技のレーシングサービスを行っていた鳥谷は、よりランナーの顔にフィットしたアイウェアを開発できないかと考えていた。陸上アスリートは競技の特性上、他のアスリートに比べて身体が絞られ、それに伴って顔もシャープな人が多い。それに加えて現代の10代・20代のアスリートは、以前にも増して小顔の人が増えている。当社では、長年日本人の頭部寸法を基にした独自の社内基準を設定し、日本人ランナーのためのアイウェアを作ってきたが、今のトップアスリート専用モデルを作るには、新たな基準作成が必要なのではないのか、という疑問がわいたのだ。

「改めて男女別の現役アスリートの頭部データを計測しよう」。

開発コンセプトは「纏(まと)うアイウェア」

初代「E-NOX α」から「E-NOX NEURON」へ
アスリートとともに進化を続けるE-NOX シリーズ

そこで開発やデザイナー、設計など10数名が、100名を超える現役アスリートのもとを訪問し、頭部サイズを計測。そのデータをもとに頭部の3D模型を製作したところ、今まで社内基準としていた日本人男女の頭部寸法データよりも小さいことが判った。また、顔幅だけでなく、こめかみから頬にかけたフェイスラインにも大きな特徴があることも判明した。

このデータをもとに、デザイナーの北村は、頬骨あたりまでフレームを伸ばし沿わせれば、顔への接地面積が増え、アイウェアのブレを極限まで抑えることができると考えた。参考にしたのは、冒頭で紹介した野口みずきが着用した「E-NOXα」だ。

早速作成したサンプルを手に、アスリートが待つ現場へと向かった開発メンバー。一般的なアイウェアと比べて、奇抜なデザインや際立つコンパクトさについて厳しい意見も覚悟していたというが、アスリートの評判は上々だった。「初めてフィットする感覚がわかった」「長時間の着用でもストレスがない」「視野が狭くならず、つけてないみたいに軽い」。これならいける!と確信した瞬間だった。

ところが、逆風は社内にあった。ターゲットをランナーに絞ったその独特なフォルムとサイズの小型化が極端すぎて、本当に売れるのか、という声が多数上がったのだ。一般的に、使用者を限定したものやデザインの偏った製品は売れにくいため、販売のリスクが高いと考えるのも当然だ。しかし、開発メンバーは粘り強く社内の説得を続けた。真剣に競技に取り組むアスリートの声を直接聴き、そこにランナーの課題とニーズがあることは明確だった。その現役アスリートの声に応えたい、そしてそれは陸上競技におけるSWANSブランド力の向上にも必ずつながるはずだという確信もあった。そして、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論の末、製品化にむけてストップしていた開発が再び動き出した。

その頃、製品化のための金型設計もスタート。しかし、従来のレンズを用いたシミュレーションでは、どうしても安全性を担保できるレンズの強度が出ないことが判明する。コンパクトさとフィット感が今回の製品開発のポイントのため、レンズをフレームの一部とする超軽量設計は変えられない。材料開発を担当する今村は新材料での開発に取り組むことを決意。試作と構造解析、検証を何度も繰り返し、ついにめざす性能を持った新レンズが完成した。

答えは必ず現場にある

新型グラスは、「細胞(NEURON)レベルの極限のフィット感 “纏う(まとう)アイウェア”『E-NOX NEURON』」と名付けられた。アイウェアといわれてイメージする形が一つではないことを証明したE-NOX NEURON。その真価はすぐに形になって現れた。「着けていることを忘れてしまうほど自然な掛け心地だ」と語っていたトライアスロンランナーが、初着用のレースでいきなり優勝したのだ。トップマラソン選手を多数輩出しているある実業団を訪問した際にも、実際製品を試したアスリート全員がE-NOX NEURONの着用を希望したという。

とはいえ、独特の形状もあり、販売店の店頭に並べていて自発的に売れていく製品でないことは開発メンバーもよく理解している。現場の声を聴き、走るための機能に特化した究極のアイウェアだからこそ、一度手に取ってもらえればその価値は必ずわかってもらえるはず。アスリートの身体レベル、求める環境は常に進化し続けている。彼らが当社の製品を纏い、最高のパフォーマンスが発揮できるようサポートすることが当社の使命。そのためにどうすれば直接製品を手に取り、そのフィット感を体験してもらえるか、ここからが鳥谷たち営業の力の見せどころだ。

2020年の舞台で、E-NOX NEURONの着用を自ら希望してくれたアスリートたちが一人でも多く結果を出せるよう、当社ができることを考え提供し続けていくこと。その答えは、いつも現場にある。

当社をめざす
皆さんへのメッセージ

  • スポーツ第1事業部 営業部

    鳥谷 好孝

    営業部の統括、商品企画からPRまで売上に関わる全般をマネージメント。

    営業部の統括、商品企画からPRまで売上に関わる全般をマネージメント。

    社会人として、まずは自分がどんな人間かを把握する事が大切だと思います。自己マネージメントする事で自分の長所・短所がわかり、仕事上の役割・立場が見えてくると思います。会社に入ると全てが初めての事で戸惑う事も多いと思いますが、経験が全ての不安を消してくれます。社内外問わず、率先して様々な経験をして下さい。必ずその経験が今後のプラスになるはずです。

  • 商品企画部 スワンズクリエイティブセンター

    北村 圭三

    プロダクトデザインに加え、映像・WEB・プロモーションなど幅広い業務を行う。

    プロダクトデザインに加え、映像・WEB・プロモーションなど幅広い業務を行う。

    どんな仕事でも「自分には関係ない、これ以上はしてはいけない」と思った瞬間から、自身の成長は緩やかにストップします。与えられた業務内容だけが全てだと考えるのではなく、自身で考えアクションを起こす事が求められます。また自分が何者なのかを決めつけるよりも、色々な可能性を探し続ける事で、仕事はとても面白くなります。ぜひ年齢や経験に関係なく色々な事にチャレンジして下さい。

  • 開発部 技術開発課

    今村 まどか

    主にグラスの開発に関わる技術案件を担当。コーティング、材料、塗装など幅広い知識を持つ。

    主にグラスの開発に関わる技術案件を担当。コーティング、材料、塗装など幅広い知識を持つ。

    使用環境により優れた製品が異なるように、場面により求められる能力は様々ですが、自ら課題を見出し、周りの人と共有しながら取り組む姿勢はどんな仕事でも大切だと思います。ユーザー要望の高い壁をチームで越えていくのが当社の良さです。理想を形にするのは決して楽ではありませんが、自己の成長として楽しみつつ、共にあがききる(笑)ことのできる素直さと強さが大事だと思います。