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呼吸するゴーグル[ROV]O誕生秘話

スキーやスノーボードでは安全な視界の確保はとても重要だ。長時間滑走していると、ゴーグル内部に湿気がたまり、前が見づらくなることで、滑走中の事故や滑りのパフォーマンスの低下につながることがある。既成概念を大きく変えたA-Brow System搭載の「呼吸するゴーグル[ROV]O 」の誕生ストーリーを紹介する。

SWANSにしかできないものは何か

簡易なレンズ交換構造とそのアイデアに多くのゴーグルメーカーがしのぎを削っていた2012年頃。それまでのゴーグルは、柔らかいフレームにレンズが装着されることでその構造が成立するものが多く、いったんレンズが外れると、フレーム単体ではその形状を保持できなかった。すでに前後の4つのロックを解除するだけでレンズ交換が可能な「イージー4ロックス」を市場に送り出していたSWANS社内では、新たなモデル開発のプロジェクトが始まっていた。

「『くもり』を一瞬で解消できる画期的なゴーグルが作れないか」と考えた商品企画部の乾は、①新たなレンズ固定方法、②レンズがなくても形状が保持できるフレーム構造、③グローブをつけたままで操作できる操作性の3つの要素を併せ持つ構造を形にしたいと考えた。雪上での検証も含め、仕様検討は1年以上にも及んだ。そして、レンズを前面に突出させ、ゴーグル内部の換気を一気に行うA-Brow Systemのプロトタイプ(原型)が完成する。

アイデアをカタチにする

その頃、生産技術の横地は、樹脂材料の選定に奔走していた。レンズとフレームの隙間を埋めるための復元力の高いスポンジや、レンズを前面に押し出すための操作レバー部分には硬さとコシを持つ素材が必要だと考えたからだ。また、A-Brow Systemの効果を確認する為、レンズを人工的に曇らせたゴーグルの換気性能テストや、気密性を確かめるために発煙試験装置自体も考案した。また、新構造の安全評価基準を新たにつくる必要もあったという。

同時に開発の浅田は、横地が選定した樹脂の特性と乾の作成したプロトモデルの3Dデータをもとに、金型製作のためのCADデータの作成に着手し始めていた。A-Brow Systemの構造を邪魔することなくレンズ着脱を可能にすることと、材料強度と製品の安全性を担保した構造設計の両立は、決して簡単ではなかったという。営業からの要望も取り入れながら、構造検証、雪上テストや解析を繰り返し、量産に向けた金型の仕様が固まった。

さらなる進化、新たなステージへ

全ての量産準備が整ったのは2014年9月。シーズンは既に始まっていたが、量産完成品でしか行えない試験が急ピッチで実施され、ひとつのトラブルが命取りになる過密スケジュールの中、12月中旬から本製品のデリバリーが始まった。
「取引先バイヤーの評価や早期受注、契約選手によるライダーテストの反応から、この商品は売れるという確信があった」と語るのはプロモーション担当の中村。度重なる暖冬の影響の中、シーズン半ばでの納品になったにも関わらず、「曇りに対して最強なゴーグル」を心待ちにするお客様のもとへ新製品[ROV]Oが届けられた。

「汗をかいた後のゴンドラでも一切曇らずクリアな視界が確保できた」「コントラストが高く、雪面の状態が把握しやすい」「新雪パウダーや吹雪の中でのハイク、雪庇からのジャンプ等で雪が入っても、レンズを上げておけばすぐ乾いて元に戻った」など、チームの狙いはまさに的中した。

発売から4期目を迎えた今シーズン(2017/18)、Good Design Award をはじめ、二年連続してドイツのスポーツギアのデザイン賞であるISPO Design Awardを受賞するなど、多くの賞を受賞している[ROV]O。更に2018年早春の展示会ではA-Brow Systemを引き継いだ新型も発表され、高性能レンズ群と相まってそのDNAはさらに広がり続ける。

当社をめざす皆さんへのメッセージ

▶製造部 淡路生産技術課 横地
体を動かすことが好きで、好奇心旺盛、あと元気があれば何でもできると思います。雪上テストでは、極寒の中レンズが曇るまでハイクアップ(歩いてパイプもしくは山の斜面を登ること)しますが、当社のゴーグルはそもそもなかなか曇らない(笑)。汗をかいてそれが冷えて…を繰り返し、たいてい誰かが風邪をひきます(笑)

▶開発部 DP開発課 浅田
我々の扱う製品は人が身につけるものが多く、プロダクトの中でもファッション性が高い点が特徴です。着用しているユーザーの姿を目にした時は他に代えがたい喜びを感じます。設計業務は様々な観点からモノを見つめ直し、モノと深く向き合う事が出来ます。何でもチャレンジするフットワークの軽さや、モノを作る事が好きという純粋な気持ちがとても大切だと思います。

▶スポーツ事業部 営業部 兼 マーケティング部 中村
限られた予算の中で最適な販促活動を行うのは決して簡単なことではありませんが、大事にしているのはユーザーに直接当社の製品を試してもらうこと。プロモーションがうまくいき、試着会で反響があったり、製品が話題になり売れた時は喜びを感じます。

▶商品企画部 スワンズクリエイティブセンター 乾
チームでのモノづくりにおいて、コミュニケーション能力はとても重要です。それは単に会話力という意味だけでなく、様々な場面で人を巻き込む力、自分の作業の次行程を託される人に配慮するゆとりや優しさ、ユーザーが使用する状況やどう感じるかといったことを真剣に考える想像力が必要になってきます。経歴や知識よりもそうした力を秘めた人材が求められていると思います。

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